第1項では大麦になった貴方が大麦麦芽(モルト)に進化を終えて、ピートで乾燥されるまでを体験しました。第2項ではいよいよ、貴方(モルト)がアルコールの液体、つまりウイスキーの赤ちゃんになるまでを追っていきたいと思います❗️🤗
目次リスト
ウイスキーの製造行程 ステップ② 糖化行程(マッシング)※モルトから麦汁へ
大麦からモルトに進化し、ピートによってスモーキーフレーバーをまとった貴方。
しかし、ウイスキーになる夢を叶えるためには、まだまだ沢山の試練が待っています😌☝🏻
ウイスキーになるには、アルコールを生み出さなければなりません。その為には発酵行程が必要になるのですが、発酵には糖分が必要になります。
大麦からモルトに進化する過程で酵素の力を手に入れた貴方は、大麦に含まれるデンプンを糖に変化させることが可能になりました。
発酵に必要な麦汁(ウォート)を抽出する作業。それが糖化行程(マッシング)です。
では具体的にどのような行程が必要なのでしょうか?
モルトを粉砕する
いきなりの試練😔はい、貴方(モルト)を粉々にする行程です。痛いですが我慢してください😭
ゴミなどを取り除きモルトミルで粉砕していくのですが、この時に3種類の大きさに分けて粉砕されます。
大きさの順に
- ハスク(一番粗い)
- グリッツ(中間の荒さ)
- フラワー(一番細かい)
このモルトの粉の総称を「グリスト」と呼びます😌☝🏻
この大きさの違うグリストを一定の割合で配合します
通常では「2:7:1」の割合が一般的と言われます。
マッシュタン(糖化槽)で糖化
先程の行程でグリスト(大麦の粉)になった貴方は暖かい温水に飛び込みます♨️
67〜70℃の温水と合わせて「マッシュ」と呼ばれる粥(かゆ)状にさせてマッシュタン(糖化槽)に投入します。
糖化酵素が最も反応する65℃程度に保ちながらレイキと呼ばれる熊手状の機械で撹拌し糖化を進めていきます。※上記の写真のイメージですね☺️
こうしてモルトのデンプンが糖に分解されます。同時にモルトに含まれるタンパク質もアミノ酸に分解されるのですが、ここも重要です❗️アミノ酸。つまり旨味ですね✨ウイスキーの味わいに大きな影響を与える要因になるのです☺️☝🏻
麦汁の採取(数回に分けて採取する)
糖化を終えた貴方(マッシュ)はマッシュタン(糖化槽)の底部にあるスリット状の板からこし出されます。
最初に採取できるのが一番麦汁と呼ばれ、糖度が約20%の甘い液体。(ビールで聞いたことがある響きですね😌)
次に約75度の温水をマッシュタン(糖化槽)の上から注ぎ、同じ行程を繰り返すと、二番麦汁に。糖度は約5%程度です。
同様にして繰り返し採取される、三番麦汁は糖度が5%未満で、これは発酵に回さずに次回の糖化行程の仕込み水にすることが多いようです。
麦汁を取り終えた搾りかすはドラフと呼ばれ栄養分が含まれることから、家畜用の飼料に加工されます。
ここまでで、貴方は麦汁へと姿を変えました🤗
大麦の主成分であるデンプンを、アルコール発酵ができる麦芽糖などの糖に分解するのが糖化行程(マッシング)の目的。アルコールを生み出す準備だけではなく、ウイスキーの味わいに大きな影響を与える大切な行程なのです😌☝🏻🥃
ウイスキーの製造行程 ステップ③ 発酵行程(ファーメンテーション)※麦汁に酵母を加えてアルコールに分解
麦汁になった貴方はいよいよアルコールを手に入れます👍
お酒として生まれ変わる重要な行程です😌☝🏻
ここでは貴方(麦汁)からアルコールを作り出してくれる酵母くんとの出会い、そして別れのストーリーが待っています😭
それでは具体的に見ていきましょう❗️
麦汁を2〜4日間かけて発酵 ※酵母との出会い、別れ
マッシングで得られた貴方(麦汁)は20℃前後に冷却され、ウォッシュバックと呼ばれる発酵槽に入れられます。そこに、この行程の陰の主役。酵母(イースト菌)が添加されるのです。
しばらくすると、発酵によって発生する炭酸ガスで激しく泡が立ってきます。このままだと溢れてしまうので、発酵槽の上部に取り付けられているプロペラ状のヘラを回転させ、泡を潰しながら発酵作業は続けられます。※上部の写真は発酵により泡が出ている状態です。
発酵を開始ししてしばらくは、酵母が麦汁の糖を食べて増殖します。
15時間ほど経つと、アルコールや炭酸ガスの生成量が最盛期を迎え、温度が30〜34℃に上がって酵母の増殖が止まります。
そして、別れは突然やってきます、、、。😔
40時間ほど経つと糖が減っていき酵母は死滅し始め、72時間程で発酵を終えるのです😭
酵母は貴方(麦汁)の糖を食べ、アルコールを生み出して消えていく、、。😇
とても感動的な場面ですね😂💖
こうして貴方は麦汁から、アルコール度数7〜9%のウォッシュ(もろみ)へと更に進化することができるのです😌☝🏻
アルコールだけではない❓❓発酵によって生み出される成分とは❓
発酵とは微生物菌類である酵母が糖を食べ、アルコールと炭酸ガスを生成することです。
さらに酵母はこの時に、エステル類や酸と行った香味成分をも生み出します😌
また、麦汁の中の乳酸菌などの微生物と共存・競合して、ウイスキー🥃の風味に厚みや複雑さをもたらすのです。
ウォッシュバック(発酵槽)の材質による特徴
皆さんはサントリーから発売している白州をご存知でしょうか?☺️おそらく大好きな方も沢山いらっしゃると思います🤗※もちろん筆者も大好きです❤️
ウォッシュバック(発酵槽)には木製と金属製を用いる場合があります。
前述した白州蒸溜所のウォッシュバック(発酵槽)は全て木製です。
木製発酵槽の特徴・・・伝統的な材質で木材に住む微生物の働きにより、もろみに複雑な風味をもたらせる
金属製発酵槽の特徴・・・清掃がしやすいため微生物管理が容易で近年採用する蒸留所も増えている。
発酵槽一つとっても、ウイスキーに様々な影響をもたらします。蒸留所によっては、個性の違うウイスキーを生産するために、違う種類の発酵槽を保有している場合もあります。
アルコールを生み出す発酵とは、生きている酵母や微生物による、自然が生み出す「神秘」と言えます❗️大昔からお酒の歴史が続いていることを考えると、感慨深い気持ちになりますね🥺
ウイスキーの製造行程 ステップ④ 蒸留行程(ディスティレーション ※沸点の違いを利用しアルコールを濃縮
盟友である酵母のおかげでアルコールを手に入れた貴方(もろみ)。いよいよウイスキーの赤ん坊として産声を上げるための最終行程へ入ります。それが蒸留です❗️
蒸留酒に分類されるウイスキー。その重要行程を追っていきましょう🤗
今回はモルトウイスキーに使用される蒸留方法にスポットを当ててご紹介します。
アルコール度数を高くするための原理とは?
発酵によりできたアルコール度数7〜9%の貴方(もろみ)を、度数の高いお酒にするのが蒸留の目的です。
ここで皆さんに質問です。水の沸点は何度でしょうか?
もちろん答えは100℃ですね😅☝🏻
ではアルコールの沸点とは、、、?
答えは78.3℃です😌
よく料理などでお酒を回しかける「フランベ」という技法。軽く煮詰めてアルコールを飛ばしたりしますよね☺️
そう、アルコールは水より先に蒸発してしまう。先に気化したアルコールを冷やして抽出する、それが蒸留の仕組みです。
モルトウイスキー蒸留所の主役!「ポットスチル」を使った蒸留方法とは?
上記の写真は単式蒸留器のイメージです。下から熱しられたもろみはアルコールから気化して上昇し、上がり切ると渦巻き状のワームタブ(冷却器)を通って液体として抽出されます。こうしてアルコール度数を高めていくわけです🤗
モルトウイスキーで使用される「ポットスチル」は「単式蒸留機」と呼ばれ、蒸留1回ごとにもろみを入れて蒸留されます。
この「ポットスチル」。蒸留所ごとに様々な大きさや形があり、それぞれの蒸留所のウイスキーへのこだわりや個性を与える、モルトウイスキー蒸留所の主役的存在です❗️
玉ねぎのような胴体・そこから上に伸びるヘッド・そこから折れ曲がって蒸気を冷却器へと送るラインアーム。※ポットスチルの写真をご覧ください😌☝🏻
このそれぞれのパーツの形状によって、ウイスキーの酒質に変化を与えます。
また、ポットスチルを加熱する方法によっても酒質に変化をもたらします。
- 容量・・・大きいとライトな酒質に。小さいとヘビーな酒質になる。
- ラインアーム・・・長くて上向きだとライトな酒質に。短くて下向きだとヘビーな酒質になる
- 加熱方法・・・間接過熱(ポットスチル内を高温の蒸気で加熱)だとライトな酒質に。直火加熱(石炭やガスで焚いて加熱)だとヘビーな酒質になる。
蒸留回数・初留と再留を経て、「ウイスキー」が生まれる
スコッチウイスキーでは2回蒸留基本で、1回目の蒸留を「初留」2回目の蒸留を「再留」と言います。
初留時にはアルコール度数が20〜25%のスピリッツになります。
それを再び蒸留する再留時には、65〜70%にまでアルコール度数を引き上げられます。
こうしてついに貴方は、元気でパワフルなウイスキーの赤ん坊としてようやく産声を上げることができたのです!🤗
大麦として生まれ、様々な進化を経て、誕生した無色透明で綺麗なウイスキー。
「ニューポッド」「ニュースピリッツ」と呼ばれ、もちろん普段私達が飲んでいるウイスキーの色はまだ着いていません。
まだまだ美味しいウイスキーには程遠いですが、無事に誕生したことを祝いましょう☺️🎉
第3項をご覧になりたい方はこちらです☺️👇❤️
初心者でも簡単に頭に入る!ウイスキーができるまでの体験ツアー③